絵本といっしょに ~ちょびっとクラブ~

絵本をこよなく愛するメンバーによる、良質な絵本を楽しむクラブです。メンバーのひとり、Kの日々思うこと。

科学絵本の「構成力」

私は小学校、中学校へも読みかたりに行っています。

最近、小学校の高学年へは、好んで科学絵本(社会科学も含みます)を持っていきます。

先日もある科学絵本を持っていったのですが、その時、あることに気付き、驚きました。

 

すぐれた科学絵本は、ある分野に関するひとつの講義に匹敵するということです。それも、ほんの十数分で、小学生にも分かるレベルの専門知識を紹介できるのです。

「講義」をする人は、ただ丁寧にきちんと絵本を読むだけ。もちろん、事前にしっかりと読み込むのは必須です。さらに関連する事項についていくつか調べておくとより一層深みのある「講義」になります。

良い科学絵本を作るために、作者や編集者など本を作る側の人々には、優れた構成力が必要ですが、そのようにして作られた科学絵本自体が、まるで「講義」を展開できるだけの構成力を持っているかのようです。

 

だったら、ひとりで読んでも同じような効果があるのでは、となりますが…

ひとりで読む場合と何が違うかというと、読み手と聞き手との双方向のやり取りがあるかどうかです。

基本的には読んでいる途中でたびたび中断してのやり取りがあるわけではありません。読みかたりですから。しかし、読む前後や、内容によっては途中で何らかの質問や意見が入ることがあります。

そこから本文中にはない関連事項に発展し、より一層絵本の内容も楽しめるというのが魅力的なのです。

ですから、大勢の前での読みかたりだけでなく、例えば親子で一対一で読む場合でも、そのような読み方をすると楽しいかなと思います。

 

最近、絵本という表現方法は、物語よりもむしろ科学的なものの方がより向いているのではないかと思うことさえあります。

絵本はどうしても「絵」があるために、聞き手の想像力は絵に制限されがちです。別の見方をすれば、それは、絵本の絵が単なる挿絵ではなく、物語の重要な構成要素であるという証拠でもありますが。(そのため、もともと耳で聞くおはなしであった昔話を絵本にするのは非常に難しいという問題があります。それはまた別の機会に…)

しかし、科学絵本においては、絵が視覚的に情報を補足してくれることによって、理解を助けてくれます。それゆえ、科学絵本はただ読むだけで、文章に書かれていることよりはるかに多くの情報を与えてくれるのです。

 

科学絵本の読みかたりをするために、ただ漫然と読むだけでなく、関連事項について少しだけ調べる習慣がつきました。

ただ絵本を読んでいるだけで、色々な分野の知識が少しずつ得られて、ちょっと得した気分です。