絵本といっしょに ~ちょびっとクラブ~

絵本をこよなく愛するメンバーによる、良質な絵本を楽しむクラブです。メンバーのひとり、Kの日々思うこと。

春の七草


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「せり  なずな  ごぎょう  はこべら  ほとけのざ  すずな  すずしろ  これぞ七草」

小学校の低学年の頃、この唱え方を知って春の七草を覚えました。(秋の七草の方はなかなか覚えられなかったです…)この知識も絵本から。

 

七草粥が食べたくて…母は毎年作ってくれていたような気がするのですが、上記の野草が入っているわけでなく…

その年によって内容は違うのですが、根菜を中心とした野菜に薄揚げとキャベツが入っていて卵でとじたおじや、ぼんやりとした記憶にある七草粥はこのようなイメージです。はっきり言っておいしくありませんでした。「7種類入っているからいいじゃない」と言われましたが。

無理もありません。私の子ども時代の1980年代に、各家庭で七草を摘んで用意できるはずもなく、今のようにパック入りの七草セットなどという便利な商品もありませんでした。

そもそも地域によって気候が違うので、かつてはその土地で無理なく手に入る様々な食材で七草粥が作られていたようです。そう考えると母の七草粥は正しかった訳です。

 

しかし、子どもの頃の私はそのような事情は知りませんでしたし(実はついさっきまで知りませんでした)、おいしくないおじやを食べさせられていたので納得できませんでした。春の七草は、せり、なずな…の7種類だと聞いている。七草粥とはそれらを使って作られた粥のことではないのか。

 

幸いなことに、90年代に入った頃だったでしょうか。フリーズドライの七草セットが販売されるようになりました。

パック入りの七草セットを初めて目にした時の感動は忘れられません。

やっと私は理想の七草粥を食べられるようになったのです。

予想通り、柔らかな野草の食感とほのかな苦味、控えめな味は、年末年始の暴食をリセットするに相応しい理想的なお粥でした。

 

私は毎年、パック入りの七草セットを購入し、せり、なずな…と順に並べて眺めてから調理します。我が家の子どもたちは小さい頃から七草を目にしているので、子ども時代の私と違って春の七草が具体的にどのようなものか、よく分かっていることでしょう。

ところで今年のセットのすずなとすずしろには葉がついていませんでした。本来は葉を食べるものでしょうが、まあビジュアル的には分かりやすいですね。

 

今年もほんのり塩だけで味付けをした七草粥を食べて、正月休みを終え再び走り出す心の準備ができたような気がします。