絵本といっしょに ~ちょびっとクラブ~

絵本をこよなく愛するメンバーによる、良質な絵本を楽しむクラブです。メンバーのひとり、Kの日々思うこと。

学びのツールとしての絵本

今回は、日頃私が言っていることと矛盾するのでは?という絵本の使い方についてのお話です。

 

大学が閉鎖され、ウチに閉じ籠ってパソコンの画面に向かってばかりの娘。

大学の授業が始まる前から、趣味で世界中の色々な子ども向けの学習サイトを探し出しては使っているのですが…本日は子ども向けの英語での算数の学習に取り組んでいます。

娘がふと、つぶやきました。

「小学1年生の時、足し算を暗記しちゃってたよな~。計算カードで繰り返してたから。初めからもっと先生に数学的な話をしてほしかった。」

そして、画面を見せてくれました。

「これ、見て。…例えば自分の誕生日から何日経ったかを数える時に、壁に棒を書いていくやり方はキリがないでしょう。それを表すために数字があるということをきちんと説明してる。」

 

他にもこのようなことを言っていました。

「色々と省略し過ぎなんだよね。教科書の中で、子どものキャラクターが『10のまとまりを作るといいね』とか言ってるけど、そこまでの思考の過程が書かれていない。」

確かに、子どもの頃、「えっ?私まだその結論に至る過程を理解してないのだけど…なんで君たち(キャラクターのこと)分かるの?」ということが良くあった!と思い出しました。

 

日本の小学校の算数の教科書でも、初めは数を意識させるような、同じ種類のものが複数集まっている様子の絵からスタートし、その後、一対一対応へと進みます。決して、計算カードで足し算・引き算の暗記ばかりやっている訳ではありません。

それなのにわざわざ学校の授業時間を費やして、数学的な考え方よりも、計算のスキルを身に付け、向上させることを重視するというのはもったいない話です。

 

壁に棒を書いていくやり方から数字を発明していくエピソードは、私も子どもの頃は学校の教科書ではなく、絵本から教えてもらったことを思い出しました。

以前、「科学絵本の『構成力』」というタイトルの所でも似たようなことを書きましたが、科学絵本とはそのテーマについての内容が実に丁寧に描かれているものです。

 

学校が休みになり、家で学習する機会が増えていると思います。

今はオンラインで優れた学習ツールが多く配信されています。そちらを利用するのも良いですが、今こそ科学絵本を楽しまない手はない!と思います。

私個人の考えですが、基本的には、「学校が休みになっちゃったから、ウチでスケジュールをしっかりと決めて、学習させなきゃ!」と思う必要はないと思っています。基本的な生活リズムさえ整っていれば、あとは子ども自身がどのように時間を使うか任せてみるのも良い、と。

ですので、もちろん「〇〇の本を読みなさい」とばかりにわんさかと用意するのではなく、このジャンル、興味あるから、久しぶりに絵本で読んでみようかなという、自分自身が楽しむ程度の気持ちで、取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

思うに、絵本の作り手は、ペーパーテストの点数を取らせるために子どもたちに何かを教えているのではなく、この分野はこんなに面白いんだよ!と、子どもたちにそのわくわくとした気持ちで紹介している立場である場合が多いことでしょう。

科学絵本はそれゆえ学問としてもきちんと筋が通っていて、分かりやすく、面白いのかもしれませんね。