絵本といっしょに ~ちょびっとクラブ~

絵本をこよなく愛するメンバーによる、良質な絵本を楽しむクラブです。メンバーのひとり、Kの日々思うこと。

「絵本はアートです!」

表題は、このちょびっとクラブが発足して間もない頃、ちょびっとクラブの通信に載せた文章のタイトルです。(ちょびっとクラブでは、毎回活動時に通信を配布しています。)

 

どうして私たちは絵本を読むのでしょうか?

赤ちゃんに絵本を読んであげる時、近頃は、赤ちゃんとの交流をその理由に挙げる人が多いかと思います。

そしておまけとして、洗練されたことばの響きや使われ方(それに美しい絵も!)を紹介したい、それらを身につけて、自分の表現として使えるようになってもらえたらいいな、というのもあるかもしれません。相手の発することばをきちんと理解できるような力をつけるというのも含みますね。

実際、幼時に絵本に親しんだ子どもは、語彙力が豊富で、文章を読み取ることにあまり苦労しない子が多いというのを感じている方も大勢いらっしゃることでしょう。

絵本がその後の読書への入門となっているような感じです。

 

ところが、私たちは大人になっても絵本に親しみ、他の書物と同様に、子どものためだけのものとは思わずに、自分のためだけに読むことがあります。

なぜなら、絵を素敵だと思ったり、短い文章の中に楽しさを感じたり、癒されたり、はっと気付かされたり…たくさんの理由がそこにはあります。

 

そう考えた時、絵本の役割はもっと別のところにありそうです。

 

そもそも絵本はただ一般的な書物の前段階という安っぽいイメージではなく、総合的な芸術としての側面を持っています。

簡潔に選び抜かれたことば、ことばと共にその絵本の世界観を豊かに表現した絵、そして文と絵のみでなく、サイズや用紙なども含めた装丁もその絵本に合うようにぴったりと考えられています。

書棚で背表紙だけが見えるような通常の並べ方ではなく、表紙が見えるように配置することも多いというのを考えると、絵本をひとつのアートとして捉える向きも理解できます。

 

それでは、芸術としての絵本の役割とは何でしょうか?

私は、芸術とは私たちが人生を歩んでいく中で、道しるべとなり、力となってくれるものであると思います。

そして絵本は非常にコンパクトな状態で身近にある芸術。

つまり、身近に絵本がある生活は、子どもたちの人生に強力なパートナーをひとつ増やしてあげることにつながる。私はそう信じています。

 

私たちがちょびっとクラブを作った原点はここにあります。

ちょびっとクラブとして何ができるのか、日々模索しているところです。