絵本といっしょに ~ちょびっとクラブ~

絵本をこよなく愛するメンバーによる、良質な絵本を楽しむクラブです。メンバーのひとり、Kの日々思うこと。

読みかたりは誰にでもできるか?

近ごろは、日本全国、あらゆる小・中学校、幼稚園等で、保護者や地域の有志による読みかたり活動が盛んです。

読みかたりをする人たちは当然、絵本が好きで、子どもたちのことも好きなので、子どもたちに絵本の楽しさ、読書の喜びを進んで伝えたい人たちでしょう。

しかし、中には、PTAの役として、好むと好まざるとに関わらず、読みかたりをせざるを得ないという向きもあるようです。

子どもに絵本を読んであげることくらい誰だってできるだろうという考えの人もあり、いやそれは特別な技能のようなものだと考える人もいるという状況のようです。

 

果たして、このように集団に向けた読みかたり活動は、誰にでもできることでしょうか。

 

私の答えは、「YES」そして「NO」だと思います。

それでは、「YES」の面からお話しします。

 

司書や学校の先生ではない「素人」(とは言え、保護者や地域の人の中には当然プロも紛れていますが)が、学校に来て、子どもたちの前に立つというだけで、子どもたちにとっては新鮮な体験です。

様々な読み手による読みかたりは、例え同じ本であっても、受け手の印象は違ってくると思われます。読み手一人ひとりの人生を通した語りと言っても過言ではありません。

選書が読み手の裁量に任されている場合は、読み手の趣味嗜好や価値観が色濃く表れ、子どもたちの世界を広げる一助にもなるでしょう。

上手下手は関係なく、きちんと子どもたちに届く大きさの声でしっかりと読みさえすればいいのです。多様な本や読み方に触れることは、子どもの認知の成長の役に立つと思われます。

誰でも子どもたちに対して絵本を読んでくださいと制限をかけないことは、以上のような面において大切なことです。

 

それでは、「NO」の側面とは何でしょうか?

読みかたりをする人の中には、ごくまれに(だと思いたい)ですが、「子どもたちに色々な絵本を紹介したい、楽しんでもらいたい」ではなく、「子どもたちに読みかたりをする自分って受けがいいはず」という気持ちでやる人がいるようなのです。言わば子どもを「利用」して自分をよく見せたいという人たちです。

そんな態度では子どもたちに失礼です。

 

また、別の問題もあります。

現代では様々な絵本が出版されています。

昔からのロングセラーもあれば、およそ絵本とは言えない内容なのに、絵本の体裁を取った出版物もあります。

絵本とは言えない「絵本もどき」は、たいていの読みかたり好き人間にとっては見向きもしないものですが、中には、そういったものに非常に親和性を感じて、「なんて良い絵本!」と思う人もいます。

そのような場合でも、たいていの「絵本もどき」は、毒にも薬にもならないので、特に問題にはなりません。

ですが、それらのいくつかは、「毒」となることがあるので注意が必要です。

 

偏見かもしれませんが、上記の2つの問題点は、1人の人で両方兼ねていることも多いような気がします。

 

とは言え、基本的には、子どもたちは色々な人の読みかたりを聞いて育つのが理想的だと思っています。

集団への読みかたりの問題点、どのようにすれば解消できるのか、私たち絵本好きが知恵を出しあっていかねばならないのかもしれません。